内田吐夢監督『大菩薩峠』(東映京都、1957年7月13日公開)。左卜全の道庵 先月、東京都立川市で開かれた「俳優 三谷昇 役者は道化 石に木に、描き続けたピエロへの想い」(アーティスティックスタジオ LaLaLa 、2023年5月3~14日)の話は、前回のブログ「道…
演劇集団 円公演『ハムレットの楽屋』パンフレット(俳優座劇場、2000年5月)。三谷昇のロジェ(ポローニアス役) 2023(令和5)年1月15日、90歳で亡くなった三谷昇(みたに・のぼる/1932~2023)。その遺作展が、アーティスティックスタジオ LaLaLa(東京…
「東宝現代劇新春特別公演『縮図』」(ヒビヤ芸術座、1967年1~2月)公演パンフレット あの俳優が、本を出していたら。そう思うことは、よくある。 本ブログで取り上げた、中村竹弥、三谷昇、中条静夫、市村俊幸、伊吹聰太朗、原知佐子、北村英三、江見俊太…
「松竹時代劇第1回公演」(東横ホール、1965年10月)パンフレット 子どものころから“旧作テレビっ子”で、時代劇、刑事ドラマ、ホームドラマの再放送を好んで見ていた。その脇で貫禄を示すベテラン俳優が大好きで、ずいぶん顔と名前をおぼえた。 片岡千恵蔵、…
『ドン・キホーテより 諸国を遍歴する二人の騎士の物語』パンフレット(パルコ、1987年10月) 昨年末から先月にかけて、映画、テレビ、舞台で活躍したベテラン俳優の訃報が相次いだ。2022(令和4)年12月26日に絵沢萠子が87歳で、年明けの2023(令和5)年1月…
佐川唯天「著者(河原侃二)像」(河原侃二著『ヴェス単作画の実技』光大社、1936年4月) 年賀状の季節である。自分の身に置きかえると、出す枚数と届く枚数、ともにずいぶん減ってしまった。年輩の方から、「年賀状じまい」が届くこともある。すたれゆく文…
『土曜劇場 6羽のかもめ』より清水部長役の中条静夫(『サンデー毎日』1975年2月16日号、毎日新聞社)* 前回のブログ「花嫁の父 有島一郎」https://hamadakengo.hatenablog.jp/entry/2022/11/06/202318に、有島が出演したフジテレビドラマ『土曜劇場 6羽の…
『ありちゃんのパパ先生』(フジテレビ、1959~60年)本読み中の有島一郎(新宿区河田町のフジテレビにて)* 2022(令和4)年7月9日、90歳で亡くなられた演出家・テレビプロデューサーの嶋田親一(しまだ・しんいち/1931~2022)さん。今回も、入院される…
河内桃子(フジテレビ『ソフラン座 ゼロの焦点』能登ロケ、1961年8月)* 先々月、国立映画アーカイブ(東京・京橋)の特集上映「生誕120年 映画監督 山本嘉次郎」(2022年8月2~28日)で、『坊っちゃん社員』(東宝、1954年3月3日公開)と『續 坊っちゃん社…
市村俊幸(1963年)* 前回の「素描 佐々木孝丸」https://hamadakengo.hatenablog.jp/entry/2022/08/25に引き続き、2022(令和4)年7月9日に亡くなられた演出家・テレビプロデューサーの嶋田親一(しまだ・しんいち/1931~2022)さんについて書きたい。 嶋…
佐々木孝丸(1983年)* 「青蛙の剣 伊吹聰太朗」https://hamadakengo.hatenablog.jp/entry/2021/06/05/215803 から、1年以上ぶりの更新となった。紹介したい脇役本はたまっているけれど、一昨年からやっていたオーラル・ヒストリーに没頭してしまい、更新…
伊吹總太朗と仲間の会 初公演『大菩薩峠』パンフレット(1987年4月) テレビ・ラジオプロデューサーの澤田隆治氏が亡くなった(2021年5月16日死去、享年88)。“笑ビジネス”の巨星墜つ、の感がある。 1985(昭和60)年6月、新宿3丁目の国際会館5階に「コメデ…
『民藝の仲間 第351号』(劇団民藝、2008年3月) 昨年の秋から、テレビ畑を歩んできた、さるベテラン演出家・プロデューサーの聞き取り(オーラルヒストリー)をしている。その方が手がけた作品に『土曜劇場 6羽のかもめ』(フジテレビ、1974年10月-75年3月…
前回の中村伸郎から半年以上、更新が滞ってしまった。別案件の聞き取り取材で手一杯となり、当ブログは手つかずのまま。中村竹弥のソノシートつき雑誌、徳大寺伸や井上孝雄のファン雑誌など、紹介したいものはいろいろあるんだけど。 そうしたなか、鎌倉市川…
中村伸郎『永くもがなの酒びたり』(早川書房、1991年8月) 『ユリイカ』2020(令和2)年10月臨時増刊号総特集「別役実の世界 1937-2020」(青土社、2020年9月)が出た。今年3月3日に死去した劇作家、別役実の追悼を兼ねるとあって、錚々たる演劇界の重鎮、…
『カトレア』N0.30(コーセー化粧品本舗、1961年1月) 1970年代の刑事ドラマには、「戦争と犯罪」にまつわる話がよく出てくる。当時を知る世代が視聴者に多く、リアルなものとして受け止められたのだろう。 たとえば、『非情のライセンス』第2シリーズ27回「…
岡本喜八監督『日本のいちばん長い日』で東郷茂徳を演じた宮口精二(『日本のいちばん長い日』パンフレット、東宝事業・開発部出版、1967年8月) 先月出した『俳優と戦争と活字と』(ちくま文庫、2020年7月)に、徳川夢声の『連鎖反應 ヒロシマ・ユモレスク…
恩田清二郎(『俳優館』第17号、1975年3月) 隔週更新のつもりで始めた本ブログの更新が、昨秋から滞りがちに。前回の「老いの艶 伊志井寛」から、2か月ぶりにアップした。 更新が滞ったのは、本を書いていたから。「戦後75年に合わせて、俳優と戦争をテー…
久しぶりに週刊誌を買った。『週刊現代』2020年5月2・9日号(講談社)である。 お目当ては、「天知茂 眉間にしわを寄せて、生きてきた男」と題した特集記事。自宅のリビングで寛いでいたり、家族でチーズフォンデュを食べていたり、オフショットがいろいろ載…
東宝ミュージカル特別公演『マイ・フェア・レディ』のヒギンズ教授(東宝、1984年8月) CSチャンネルの衛星劇場で最近、特集「フォーエバー・ヒデキ~西城秀樹出演作より~」をやっている。2020(令和2)年2月には、『土曜ドラマ 系列』(NHK総合、1993年5月…
ここのところ“脇役盤”に手を出している。好きなバイプレーヤーが吹きこんだレコード、CDの類いである。それなりに蒐めたら、本や雑誌とは違った世界が見えてくる。そこで番外篇として、関西で活躍したバイプレーヤーのCDを紹介したい。『北村英三の世界 詩人…
今年の春から、このブログをはじめた。そろそろ年の瀬、ラストは誰にしよう、と考えて、清水将夫(しみず・まさお/1908~1975)の顔が浮んだ。 明治41(1908)年、東京生まれ。新劇の世界から映画へ移り、戦前は二枚目として、松竹蒲田、新興キネマの現代劇…
徳川夢声『くらがり二十年』著者の近影(アオイ書房、1934年3月) 2019(令和元)年12月13日、映画『カツベン!』(2019「カツベン!」製作委員会)が公開される。周防正行監督、5年ぶりの新作である。 サイレント映画全盛のころ、ある町の映画館が『カツベ…
夏川静江 友の會編『夏川静江を舞臺へ送る』(夏川静江 友の會) 映画、テレビドラマ、商業演劇の脇に出て、渋い存在感で魅せた人たちが、往年の大スターだったり、絶世の美青年だったり、人気女優だったり、というのはよくある。夏川静江(なつかわ・しずえ…
フィルムが失われていたり、権利関係が複雑な作品は別として、「観たい」と念じてさえいれば、映画はいずれ自分の前にあらわれる。名画座にしろ、BS・CS放送にしろ、DVDにしろ……。 『劇映画 沖縄』(『沖縄』製作上映委員会、1970年)がそうだった。第1部「…
『のんびり行こうよ』(浪曼、1974年5月)口絵 マメにチェックしているわけではないのに、よく見かける俳優がいる。松村達雄(まつむら・たつお 1914~2005)は、そのひとり。亡くなって14年。もうそんなになるのか、と思う。 BSやCSの衛星劇場でやってる『…
『故 佐々木孝丸氏略年譜』(協同組合日本俳優連合、1987年1月) 戦後74年、この夏も終戦がらみの映画、ドラマ、アニメ、ドキュメンタリー、特集番組がいろいろとあった。なかでも、8月10日夜にNHK Eテレの『ETV特集』で放送された『忘れられた「ひろしま」…
文学座公演『夏の盛りの蝉のように』(2014年4月)加藤武の葛飾北斎(公演パンフより) 文学座の代表だった加藤武(かとう・たけし 1929~2015)が亡くなって、今年の夏で4年になる。映画やテレビドラマを通してはもちろん、文学座の公演、晩年にライフワー…
BS12(トゥエルビ)で今年の4月から、銀河テレビ小説『まんが道』(NHK総合、1986年11月~12月放送)が再放送されている。藤子不二雄Aの同名自伝漫画のドラマ化で、小学生のころに見て以来で懐かしい。 その第12回、立山新聞社学芸部の虎口部長(蟹江敬三、…
本ブログ第1回(https://hamadakengo.hatenablog.jp/entry/20190415)で紹介した、荒川区三河島の稲垣書店。「映画文献資料専門」と銘打つだけあって、店主の中山信行(信如)さんは、いろいろとマニアックな役者本(脇役本)を出してきてくれる。 2年ほど前…