脇役本

増補Web版

夜雄と悪平 内田良平

前回のブログ(https://hamadakengo.hatenablog.jp/entry/2019/06/09/203130)で、内田良平(うちだ・りょうへい 1924~1984)のことに少しふれた。若いころは松竹で、その後は日活ニューアクション、東映やくざ映画、テレビ時代劇や刑事ドラマで、冷たく、…

ホセの交遊録 小松方正

好きな俳優の本でうれしいのは、役者仲間の逸話を読むこと。演技からは伺い知れない人物点描が興味ぶかい。 『脇役本』で取り上げた『内田良平のやさぐれ交遊録』(ちはら書房、1979年2月)は、まさにそんな本。苦みしばった俳優で、詩人でもあった内田良平…

復活の朝 千秋実

女優の斉藤とも子。社会福祉士で、平和をテーマにした朗読や、発展途上国で暮らす小児がんの子どもたちの支援にも取り組む。『ゆうひが丘の総理大臣』(日本テレビ、1978年10月~79年10月)で魅せた凛とした佇まいは、いまも変わらない。 小学5年生のとき、…

「私、脱ぎます」 東山千栄子

私家版(2005年2月)、右文書院版(2005年7月)、ちくま文庫版(2018年4月)とそれぞれの『脇役本』の冒頭に、東山千栄子(ひがしやま・ちえこ 1890~1980)の文章を入れた。自叙伝『新劇女優』(学風書院、1958年2月)の「あとがき」をしめくくる、この一文…

先輩刑事の教え 花沢徳衛

BS朝日やCSの東映チャンネルで、ちょくちょく見かけるドラマがある。『はぐれ刑事純情派』(テレビ朝日、1988~2009年)。「またこれ……」と思いつつ、チャンネルをまわしてしまう。 ただ、半年ほど前にやった回は、つい見てしまった。第7シリーズの最終回「…

借金催促の名人芸 山茶花究

「映画文献資料専門 稲垣書店」(東京都荒川区)のご主人、中山信行(信如)さんは、エッセイストでもある。著書『古本屋おやじ 観た、読んだ、書いた』(ちくま文庫、2002年)に、こんな文章がある。《まったく古本商売、〈売れずがっかり売れてがっかり〉…