脇役本

増補Web版

2020-01-01から1年間の記事一覧

アトリエでふたり 中村伸郎

中村伸郎『永くもがなの酒びたり』(早川書房、1991年8月) 『ユリイカ』2020(令和2)年10月臨時増刊号総特集「別役実の世界 1937-2020」(青土社、2020年9月)が出た。今年3月3日に死去した劇作家、別役実の追悼を兼ねるとあって、錚々たる演劇界の重鎮、…

カトレアの女 原知佐子

『カトレア』N0.30(コーセー化粧品本舗、1961年1月) 1970年代の刑事ドラマには、「戦争と犯罪」にまつわる話がよく出てくる。当時を知る世代が視聴者に多く、リアルなものとして受け止められたのだろう。 たとえば、『非情のライセンス』第2シリーズ27回「…

夏の影。昼のラヂオ 宮口精二

岡本喜八監督『日本のいちばん長い日』で東郷茂徳を演じた宮口精二(『日本のいちばん長い日』パンフレット、東宝事業・開発部出版、1967年8月) 先月出した『俳優と戦争と活字と』(ちくま文庫、2020年7月)に、徳川夢声の『連鎖反應 ヒロシマ・ユモレスク…

恩ちゃんの涙 恩田清二郎

恩田清二郎(『俳優館』第17号、1975年3月) 隔週更新のつもりで始めた本ブログの更新が、昨秋から滞りがちに。前回の「老いの艶 伊志井寛」から、2か月ぶりにアップした。 更新が滞ったのは、本を書いていたから。「戦後75年に合わせて、俳優と戦争をテー…

老いの艶 伊志井寛

久しぶりに週刊誌を買った。『週刊現代』2020年5月2・9日号(講談社)である。 お目当ては、「天知茂 眉間にしわを寄せて、生きてきた男」と題した特集記事。自宅のリビングで寛いでいたり、家族でチーズフォンデュを食べていたり、オフショットがいろいろ載…

呑んべえのうつわ 神山繁

東宝ミュージカル特別公演『マイ・フェア・レディ』のヒギンズ教授(東宝、1984年8月) CSチャンネルの衛星劇場で最近、特集「フォーエバー・ヒデキ~西城秀樹出演作より~」をやっている。2020(令和2)年2月には、『土曜ドラマ 系列』(NHK総合、1993年5月…

詩と、稽古場と、 北村英三

ここのところ“脇役盤”に手を出している。好きなバイプレーヤーが吹きこんだレコード、CDの類いである。それなりに蒐めたら、本や雑誌とは違った世界が見えてくる。そこで番外篇として、関西で活躍したバイプレーヤーのCDを紹介したい。『北村英三の世界 詩人…